育休給付金が不足判定だったとき、次に確認すること
「11か月で不足」と出ても、受給できないと確定したわけではありません。ツールに入れた日数・時間、前職、無給休業のどれかが抜けていれば結果は変わります。まず記録を見直し、それでも不足する場合にハローワークへ相談する順番を整理します。
最初に3つの記録を見直す
給与明細や賃金台帳で、有給休暇と休業手当の日が賃金支払基礎日数に含まれているかを確認します。11日に届かない月は、2020年8月以降なら賃金支払基礎時間が80時間以上ないか、タイムカードも確認してください厚労省パンフ2025改訂版 p.10。
転職した人は、前職の雇用保険加入期間と、離職後に基本手当の受給資格決定を受けたかを確認します。妊娠中や前の育休で無給の休業が連続30日以上あった人は、その開始日・終了日と賃金支払いの有無も整理します。これらを入れて再判定しても不足する場合は、結果画面だけでなく、離職票・雇用保険被保険者証・賃金台帳を持ってハローワークへ相談してください。
勤務先とハローワークに何を聞くか
勤務先の人事・給与担当には、各月の賃金支払基礎日数と基礎時間、休業中に会社から賃金が出た期間を確認します。ハローワークには、前職通算、端数月、受給要件緩和を含めて12か月に届くかを確認します。個別資料を見ないと確定できないため、「サイトで不足と出た」だけでなく、どの月が0カウントだったかを伝えると相談が具体的になります。
それでも要件に届かない場合も、育休を取る権利と給付金は別の制度です。雇用保険以外の支えを次に確認します。
まず「育休が取れる」ことと「給付金が出る」ことを切り分ける
混乱の元は、この2つが同じものに見えてしまうことです。給付金は、休んでいる間の収入を雇用保険が補う仕組み。育休は、子を養育するために仕事を休める法律上の権利です。要件を満たさず給付金が0円でも、会社を休んで子育てに専念すること自体はできます。
ここを切り分けると、「給付金が出ないから働き続けるしかない」という思い込みが外れます。収入の手当ては給付金以外の制度で部分的に埋められることもあるので、育休を取る前提で使える支えを確認するほうが現実的です。
社会保険料の免除は、給付金の可否と関係なく効く
育休中で見落とされやすいのが、健康保険と厚生年金保険の保険料免除です。これは給付金をもらえるかどうかとは無関係に、育休を取っていれば受けられます。免除されるのは本人負担分と会社負担分の両方で、しかも免除された期間も将来の年金額の計算上は保険料を納めた期間として扱われるため、年金が減ることもありません産前産後・育休期間の保険料免除(本人・事業主とも免除/年金額に反映)。
対象は、その月の末日時点で育休中の月、または同じ月の中で14日以上育休を取った月です(2022年10月の改正後のルール)育休中の社会保険料免除と14日ルール。給付金が出なくても保険料の負担が消えるぶん、手取りベースでの目減りは思ったより小さくなります。
出産そのものに対する給付は、健康保険から出る
出産にまつわるお金のうち、雇用保険を経由しないものもあります。出産育児一時金は、健康保険から原則50万円(2023年4月以降)が支給されます出産育児一時金は原則50万円・2023年4月から。これは雇用保険の被保険者期間とは無関係で、育児休業給付金の要件を満たすかどうかは問われません。
産前産後に会社を休んでいる期間については、出産手当金があります。健康保険の被保険者本人であれば、休んで給与が支払われない期間に、おおむね給与(標準報酬日額)の3分の2が支給されます出産手当金は被保険者本人・給与の3分の2。ただし対象は健康保険の被保険者本人で、配偶者の扶養に入っている被扶養者や国民健康保険の加入者は対象外です。会社員として健康保険に入っている人なら、給付金がもらえなくても出産手当金は別枠で受け取れます。
フリーランスや自営業の場合に確認する軽減制度
雇用保険に入っていない働き方の場合、育児休業給付金は最初から対象外ですが、別の支えがあります。国民年金保険料は、出産予定日または出産日が属する月の前月から4か月分が免除されます(2019年4月から。免除期間も納付済みとして年金額に反映されます)国民年金保険料の産前産後免除(前月から4か月・2019年4月〜)。
国民健康保険料についても、産前産後の4か月相当分(多胎妊娠は出産予定月の3か月前から6か月相当分)を減額する制度が2024年1月から始まっています産前産後期間相当分(4か月、多胎は6か月)の国保保険料軽減・2024年1月施行・厚労省「国民健康保険の保険料・保険税について」。具体的な軽減額や対象月は市区町村が決めるため、いずれも自分から市区町村へ届け出る必要があります。手続きを忘れないでください。
配偶者が要件を満たすなら、配偶者側で取る選択肢もある
給付金を受けるのが必ずしも本人である必要はありません。本人が雇用保険の要件に届かなくても、配偶者が雇用保険の被保険者で要件を満たしていれば、配偶者が育児休業給付金を受け取れます。夫婦のどちらが育休を取り、どちらが給付を受けるかは選べるので、世帯として見たときに給付を取りこぼさない組み立てを考える価値があります。
その前に、本当に要件を満たさないのかをもう一度確認する
ここまで「もらえなかった場合」の話をしてきましたが、最後にひとつ。要件を満たしていないという判断そのものが、見落としによる早とちりのこともあります。過去2年で12か月に届かないように見えても、無給で連続30日以上休んだ期間があれば判定の窓が過去へ延びますし(「2年→最長4年」延長のほんとの仕組み)、転職していても前職の被保険者期間を通算できる場合があります(転職しても前職の雇用保険は通算できる)。これらは見落とされやすく、入れて数え直すと要件を満たすこともあります。
本サイトの判定ツールは、緩和や前職通算も含めて勤務・休業の履歴を1日単位で当てはめ、要件を満たすかどうかを判定します。「もらえない」と決める前に、判定ツールで一度確認してみてください。受給要件そのものの全体像は「育児休業給付金は誰がもらえる?」で整理しています。
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記録を整理したい方へ
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※ 本記事は参考情報です。個別の受給可否の最終判定は、管轄のハローワーク(公共職業安定所)で行われます。